Dr A Mark Richards
Director, Cardiovascular Research Institute, NUHS, Singapore
 

NT-proBNPが生み出す違い:Dr Richardsによる受け持ち患者の事例報告

KEY TAKEAWAYS

  • 将来の合併症の軽減につながる心不全の迅速なルールインと適切な管理の開始には、ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)が有効です。

動画でお話しいただいた内容:

私がよく覚えているのは、受診を始めて数ヶ月になる若い農家の男性患者についてお電話をいただいたことです。労作時の息切れがひどくなってきており、喘息と診断されていました。家族では姉妹が一人、喘息を患っていました。この男性患者には時折わずかな喘鳴が認められ、改善に向かっていないのは明らかと思われました。そこで患者はNT-proBNPを含む複数の検査を受けました。診断の再検討を考えたものと思います。

戻ってきた数値は、48歳という当時の男性の年齢としては明らかに高いものでした。この数値を聞いた時に私が知っていたのは、NT-proBNP高値は若い人、特に50歳以下の人では非常に感度の高いマーカーであり、心不全を発症している可能性が極めて高いということでした。この年齢においては良好なルールアウト検査であるというだけでなく、非常に優れたルールイン検査でもあります。私はこの患者が心不全である可能性が高いと判断し、入院してもらいました。そして実際に、それまで認識されていなかった心筋症を発症していたのです。疾患を正確に把握して治療を行ったことで、予後は良好でした。この検査によって、極めて深刻な病状ともなり得る肺水腫を伴う、臨床的に重度な代償不全への悪化を防げたのではないかと思います。

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