マサチューセッツ総合病院のハートセンターでは、ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)の測定によって患者さんに違いがもたらされた事例を数多くあげることができます。一例として、診察した患者さんで、これまでは喫煙による重度の肺気腫が疑われるという診断を受けていた方がいました。この患者さんは自宅で酸素投与を受けており、肺疾患のため余命6ヵ月と告げられていました。
実際には、医師が見逃していた僧帽弁疾患を原因とする重度の心不全であることが判明しました。また、NT-proBNPを測定することによって、患者さんの息切れは実際には重度の肺疾患ではなくうっ血性心不全によるものであることが迅速に確認されました。そのため、心不全の治療として弁形成術を行いました 。現在は酸素投与を受けておらず、基本的には通常の生活を送っています。