Dr Evangelos Giannitsis
Cardiologist, Medical Director of Chest Pain Unit, University Hospital of Heidelberg, Germany
 

臨床症例:hs-cTnT上昇の診断的重要性

 
症例   69歳男性
主な徴候および症状 8時間前から安静時に急性の左胸部圧迫感/不快感があり、持続時間は30~40分で無症状期間は短い
数ヵ月間にわたる労作性呼吸困難
既往歴/
診察
両側性の末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)IIa、 歩行距離 270 m、能動喫煙者、動脈性高血圧、 高コレステロール血症
臨床検査
結果
結果   基準範囲
C反応性タンパク (CRP) 9 mg/L  
糸球体ろ過量 (GFR) 55 mL/min/1.73 m2   >90 mL/min/1.73 m2
白血球数 9.2/nL   4.4~11.3/nL
Dダイマー 1.3 mg/dL  
NT-proBNP 250 ng/L   900 ng/L超で、50~75歳の場合は心不全(HF)の可能性(画像検査で要確認)
心電図 (ECG)
側壁誘導のST部分低下を伴う特徴的なECG      
  画像
 
トロポニン動態プロファイル   画像
 
冠動脈造影   画像
 
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Dr Giannitsis Clinical Case - 1

What is the diagnosis of this case?

 
診断
急性心筋梗塞/NSTEMI
一般的な定義によると、以下の場合にAMIの診断が確定します。
指標となる事象発生から24時間以内の高感度心筋トロポニンT(cTnT-hs)値が1回以上99パーセンタイルカットオフ値(14 ng/L)超
cTnT-hs値の典型的な上昇と下降も確認
典型的な狭心症の症状およびECG変化により心筋虚血の臨床基準に該当
冠動脈造影で前室間枝/左前下行枝(RIVA/LAD)の高度狭窄を確認
 
結論
急性心筋梗塞の3つの基準(cTnT-hs値の上昇、cTnT-hs放出の典型的な動態、ECG変化を伴う臨床症状)をすべて満たします。
 

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