お話しいただいた内容:
TRAPID-AMI試験は、APACE試験で得られた初期所見を検証する目的でデザインされました。まず、最初に欧州で実施された多施設共同試験であるAPACE試験で、相当数の患者において1時間以内に迅速に急性心筋梗塞をルールアウトおよびルールインできる可能性が示されました。
当然ながら、これは完全に新しい知見でしたので、大規模な拡大検証試験で検証する必要がありました。TRAPID-AMI試験は、そうした2つの試験のうちの1つです。
そのため、TRAPID-AMI試験では3つの大陸で患者が登録されており、紛れもなく世界的な国際共同試験となっています。TRAPID-AMI試験に登録された患者の数は1,200名を超えています。プロスペクティブに用いることができる最も厳格な方法を用いて、APACE試験の初期の知見、すなわち高感度心筋トロポニンTを用いた1hアルゴリズムの実施は安全で効果が高いとする知見について、検証・確認されました。
1hアルゴリズムが考案される由来となった複数の試験では、診察時に取得した心筋トロポニン濃度のデータについて、診察から1時間後までに生じた絶対値の変化を追加することで診断情報がさらに増し、これらの2つのデータ(診察時の絶対値と1時間後までの絶対値の変化)を組み合わせることで、約75%の患者を2つの大きく異なるグループに確実に振り分けられることが明確に示されています。
比較的良性の疾患の患者ではどちらかといえば、開始時の高感度心筋トロポニンT濃度が低値で、1時間以内での変化は見られません。それ以外のグループに振り分けられた患者では、大半で急性心筋梗塞が認められます。そうした患者では、開始時に高感度心筋トロポニンT濃度がすでに中等度以上に上昇しているか、最初の1時間以内に有意な変化が現れます。