Cardio ThinkLab
 

IFCCのナトリウム利尿ペプチド検査に関する推奨事項

IFCC(C-CB)委員会の推奨事項

ナトリウム利尿ペプチド
検査

ナトリウム利尿ペプチド(NP)は、診療ガイドラインにおいてクラスIのエビデンスレベルAで心不全の診断に有用です。現在、臨床および研究用の複数のB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)およびヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)アッセイが世界中で利用可能です。

循環器バイオマーカーの臨床応用(C-CB)に関するIFCC委員会は、心不全(HF)に焦点を当てたNPアッセイの使用に関連する臨床試験において、適切な使用、解釈、分析性能およびギャップについて臨床医のガイドとなるような推奨事項を作成しました。

推奨事項
IFCC(C-CB)の推奨

1

NP生成プロセスや分解の複雑性、測定対象の相違を踏まえ、臨床現場で異なるNPアッセイを使用することは推奨されません。

エピトープの多様性や一次標準物質がないことは、様々なNPアッセイの調和と標準化を困難にする可能性があります。したがって、単一のNPアッセイを用いることで、2つの測定法間の濃度の違いによる混乱を減らすことができます。

2

NPアッセイは、臨床診療への導入前に、広範な特性評価が必要となります。

BNPおよびNT-proBNPアッセイにおいて、その解釈および測定に従うべき一貫性(分析プロセスにおいて、エピトープ認識、交差反応、分析特異度および分析感度に関する適切なプロトコル)を有しているかを確認します。

3

NPアッセイの基準値上限は、年齢および性別により層別化する必要があります。

年齢および性別により層別化した基準値上限(URL)の設定は、医学的判断における最適なカットオフ値決定に役立てる上で強く推奨されます。

4

BNPおよびNT-proBNPの調和および標準化が強く推奨されます。

NPアッセイを標準化し調和させるために力を注ぐべきです。これにより、異なるNPアッセイを使用した場合の臨床的不一致を最小限に抑えることができます。

5

臨床変化の有意性を高めるためNPアッセイの分析精度を改善すべきです。

NPアッセイの分析性能を高め、機器エラーおよび試薬ロット間の差を無視できるようにするため、IFCC C-CBは変動係数(CV)について10%未満を目指すよう推奨しています。

6

多様な民族集団での、特にターゲット由来のカットオフに関してNPを評価する追加の試験が必要です。

多様な人種を含むコホートを対象に、追加の試験が必要です。

7

急性HFをルールインするために、BNPの年齢別カットオフ値を検証するべきです。

BNPに関する前向き試験で、年齢別カットオフの有用性を確認および検証する必要があります。

8

現時点では、特定のBNP/NT-proBNPバイオマーカーを用いた治療戦略を推奨するには至っていません。

最適なバイオマーカーに基づく治療を導出するためには、実践的な追加の試験が必要です。

9

NP検査結果を解釈し、医学的判断を決定する際には、NPに影響を及ぼす併存疾患を検討に入れなければなりません。

腎疾患、敗血症、急性冠症候群、肺高血圧および肺塞栓症など、いくつかの併存疾患ではNP値が上昇します。 肥満、収縮性心膜炎、末期心筋症およびフラッシュ肺水腫の患者ではNP値が低下します。

10

NEP阻害薬の投与を受けている患者において、BNPおよび NT-proBNPのいずれもが長期予後予測に有用であることを示唆する最近のデータを検証するため、追加の試験が必要です。

NEP阻害薬の投与中は、BNPまたは NT-proBNPのいずれかを用いて、駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者の重大な有害事象のリスクを予測できる可能性があります。

NEP阻害薬の使用開始から2~3ヵ月以内では、BNP測定よりもNT-proBNP測定の方が診断上の混乱を招く可能性が低いです。

エキスパートから得た最新情報

2型糖尿病患者の心血管疾患・リスク管理に関するインタビュー ーJCS/JDS合同コンセンサスステートメントよりー

このローカルストーリーシリーズは、Koichi Node博士への7部構成のビデオインタビューで構成されています。 Q1: 2型糖尿病患者の心血管疾患に関して、日本の状況とアンメットニーズについて教えてください。 まず、日

16 9月 2021
野出 孝一先生

BNPとNT-proBNPの比較:専門家による見解

生物学的レベルにおけるBNPとNT-proBNPの差は、BNPはホルモンとして生物学的活性を示すのに対し、NT-proBNPは身体から受動的に除去され、生物学的活性を有さないという事実と深く関連します。 したがって、BN

1 10月 2020
Dr James L Januzzi