Q3:ESC 2020でのHFマネジメントにおけるデジタルヘルスの新たなトピックは?
デジタルヘルスには大きな関心が寄せられており、その理由の1つは非常に現実的なものです。COVID-19の危機により、以前よりも頻繁に遠隔医療を行わざるをえなくなったためです。多くの外来受診と病院での治療が止まりましたが、私たちはいくつかの手段で患者さんに連絡しなければなりませんでした。普通に電話であったり、ビデオ会議である場合もありますが、専用の機器やアプリも数多くあります。
デジタルヘルス、遠隔医療またはオンライン診療は、これまでは特に必要なものではなく、こうした新しい技術を使用するのに若干消極的な医師もいるため、完全な導入には至っていませんでした。そのため、COVID-19の危機はある程度、私たちが持ち合わせているモダリティを活用する意欲を実際に駆り立てたと言えます。
Q3(a):心不全の遠隔モニタリングプログラムにおける重要な成功要因や知見は何ですか?
重要な成功要因について考えた場合、1つには活用したいという意欲です。導入する時が来ていることを認めなくてはなりません。私は、COVID-19はある時点でこの世界からなくなるか、少なくとも適切に管理されるようになると前向きに考えています。その後、何が変わらずに残るかを知ることになります。ただ、この比較的短い期間に起こっている変化を踏まえると、遠隔医療はこのまま残る可能性が高いと考えます。
もう1つの重要な成功要因はより科学的に考えることで、これは私たちが実際に取り組まなければならない課題です。現在、多くのプログラムや機器は、依然としてテクノロジーによって動いています。簡単に言うと、新しいテクノロジーがあれば、それを使ってみようという人が必ず出てきます。それは素晴らしいことですが、少しばかり、薬物療法と同様に考える必要があるかもしれません。つまり、信頼できる科学的最先端技術、確かで科学的な研究課題を見いだし、治験や研究で検討するのです。
Q3(b):心不全におけるデジタル/遠隔患者モニタリングの次のステップは何ですか?
合理的で、方法論的に厳格な研究をデザインし、テクノロジーが真に何をもたらすかを示すことです。これは、新しいテクノロジーでは依然として、極めて頻繁に見落とされがちですが、こうした検証が重要になる段階に入りつつあります。何故なら、「新技術についてはもう20年ほど耳にしているが、本当にその技術を使う必要があると納得できるような、信頼できるデータを今見たい」と言う方々もいるからです。私は、ここに真実があると考えます。そのため、こうした機器を製造している企業や、我々が使用することがあるアプリやソフトウェアを作成するソフトウェア企業では、医学界を説得するためのデータを用意する時が来ています。ESC 2020では、心不全におけるデジタルおよび遠隔モニタリングに対して多くの関心が集まっていましたが、典型的に持ち上がるのはこうした話題でした。