私が所属する大学病院では1hアルゴリズムを実施しています。新しい戦略やアプローチを取り入れる際はいつも同じですが、この時も複数の診療科によるチームを編成してミーティングを行い、実施に要する手順について協議を行いました。
臨床検査科、循環器科、EDの専門医が集まって実施計画を策定しました。当然ながら、EDで働くスタッフに対する適切な教育も同時に行いました。
ここでとても大切なのは、移行する道筋の見極めは、それぞれの病院がそれぞれのやり方で行うことです。私の考えでは、院内の臨床検査専門医、EDチームおよび循環器専門医が一堂に会して、全員が満足できる形で移行を計画することがとても大切です。特に、このアプローチの安全性について納得できることが重要になると考えます。例えば、現時点で3hアルゴリズムを採用している施設については、1時間後の測定を開始する場合でも、3時間後の測定も継続して実施することが推奨されます。その上で、施設の患者さんにおいて1hアルゴリズムを適用した場合でも同じ情報が得られるかどうかを確認するのです。
つまり、それまでと同様に患者さんに3時間待機してもらうか、3時間後に測定を行う必要があります。その後、施設の患者さんで1hアルゴリズムを用いた場合でも、これまでと同じ戦略が取れるか、または同じトリアージ情報が得られるかを確認します。1hアルゴリズムを採用することで全てがうまくいくと考えるのはあまりに主観的すぎで、単純に考えすぎであることは明らかです。
しかしそれでもなお、1hアルゴリズムは高感度心筋トロポニンを評価するためのより洗練され改善された方法であり、患者にベネフィットをもたらす有用なツールです。ただし当然ながら、臨床医は臨床検査の情報をECGおよび臨床評価と組み合わせて使用する必要があります。