お話しいただいた内容:
現在の欧州心臓病学会のガイドラインや、その他のあらゆる国際的ガイドラインでは、急性心筋梗塞の疑いで救急科を受診する全ての患者で心筋トロポニンの測定が必須であると明確に述べられています。
つまり、私たちのような臨床医にとって非常に有益なツールであるということです。心筋トロポニンの検査をせずに信頼性の高い急性心筋梗塞の診断を行うことはできません。また、高感度心筋トロポニンを用いることなく、急性胸痛の原因から急性心筋梗塞を確実に除外することはできません。
1hアルゴリズムを適用することで、おおよそ2時間早く確定診断と管理決定を行うことができるようになっています。これは医師と病院の双方にとって大きなメリットとなるでしょう。
検査を実施してから3時間後ではなく1時間後に新たな情報を得ることができれば、判定までにかかる時間や救急科での滞在時間を確実に短縮することができます。つまり、病院での業務に関して明確なベネフィットがあります。
救急科での滞在時間はコストの増加につながる主な要因であることから、1hアルゴリズムを臨床適用することで、病院の経費の大幅な削減につながるものと期待しています。救急科の滞在時間を安全性を損なわずに短縮することができれば、確実にコストを削減することができます。
1hアルゴリズムによって、特にルールアウト領域での節約が可能となるため、これを実現できる可能性は高いでしょう。ルールアウト領域の患者さんは通常、重篤な疾患を全く有していないため、病院に何時間も滞在してもらう必要はありません。
こうした患者さんは心疾患を持たないので、心臓の検査などを追加で実施してもベネフィットは全くありません。したがって、不要な検査を受ける必要がなくなることで患者さんの満足度を向上させる機会が多く得られるだけでなく、医療費の削減につながる絶好の機会ともなるのです。